羽田健太郎氏の死去に際し、あの名作を思う
時事ドットコム:羽田健太郎さん死去=「題名のない音楽会」司会
http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2007060400337
NIKKEI.NET:ピアニストの羽田健太郎氏が死去
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070604NT000Y72104062007.html
asahi.com:ピアニストの羽田健太郎さん死去
http://www.asahi.com/culture/music/TKY200706040156.html
YOMIURI ONLINE:ピアニストの羽田健太郎さんが死去
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20070604i503.htm?from=main5
謹んでご冥福をお祈りいたします。
ハネケンといえばオタク業界への貢献も多く、上記リンク先でも指摘されているアニメ『超時空要塞マクロス』への楽曲提供や、また『ウィザードリィ』FC版移植の際の楽曲提供などがよく知られています。一方でマスメディアへの露出も多く、自身のテレビ番組も持つなど非常に幅の広い活躍をされており、それゆえに非常に広範な層からの支持を得ていた希有な人材でした。
日本では、ひょっとすると本国アメリカよりも高いくらい、『ウィザードリィ』への評価が高く、現在でもなお根強いファンが存在しています。昨年末には日本のゲーム会社・アエリアが、『ウィザードリィ』関連の全商標・開発権などを買い取ったことが発表され、今後の展開に期待もされていますが、それほどまでに根強い人気が残っているのは、やはりFC版移植の影響によるところが大きいのではないかと思っています。
移植プロデュースに数々のヒット作を持つ名ゲームデザイナー・遠藤雅伸氏を、グラフィック原案に幻想的・絵画的な画風が人気の末弥純氏を、そして作曲にはピアニストとしてクラシックのみならず現代音楽にもよく通じた羽田健太郎氏を、それぞれ起用したことにより、FC版『ウィザードリィ』は本家Apple II版とはまた違った独自の魅力あふれるゲームとなっていました。本家のそれがどちらかというと「荒削りだが原石としての魅力に満ちている」のに対し、FC版は「それなりの体裁を整え、コアな層以外にもその存在を広める役割を果たした」とも言えるかもしれません。
古参のゲームクリエイター(たとえば堀井雄二氏とか、坂口博信氏とか)をはじめとして、本家Apple II版から『ウィザードリィ』の魅力にとりつかれていた人も、もちろんいたことはいたのですが、原体験としてFC版『ウィザードリィ』の話をする人はかなり多い。今にして思えば奇跡としか言いようのないこのコラボレーションが、今日に至る日本での『ウィザードリィ』人気を支えてきたことは想像に難くありません。
ところで、アエリアとは関係ないものの、ここ最近の『ウィザードリィ』関連といえば、『ウィザードリィ外伝 〜五つの試練〜』というPCソフト。これ自体は小・中規模のシナリオ5篇を集めた微妙な(失礼)新作に過ぎませんでしたが、後にこれらシナリオを制作する際に使われた(とおぼしき)シナリオエディタが公開されています。これがなかなかよくできたツールになっており、システムの相当レベルまでをも改変できる本格仕様。もちろんマップ作成やアイテム、モンスターなどの設定もかなり自由度が高く、これをいじっているだけで、ライトなミニシナリオからヘヴィな(それこそ新作といっても差し支えないくらいの)シナリオまで作れてしまうというシロモノです。
実際、これを使ってシナリオを制作しているアマチュアの人でも、わりと本格派のボリュームたっぷりなシナリオになっていることがけっこうあるように見受けられました。やはり作っている人も相当のマニアだからでしょうか(笑)。まぁ、現実問題として、これだけの出来のシナリオエディタが与えられてしまうと、もう新作を待つ必要もないのかもしれません。待つくらいなら自分好みの『ウィザードリィ』をさっさと作っちゃえ! というか。
そんなわけで、アエリアはさっさとオンラインでもオフラインでも、せっかく買い取った『ウィザードリィ』の商標を無駄にしないように、新展開を発表すればいいと思うのですが、マニア的には前述のシナリオエディタでお腹いっぱいになっている状況なのかもしれないですね。
――などと、ハネケンの追悼とは思えない〆でこの記事を終わらせてみます。
(;´人`)なむなむ。
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